人が「自分」に戻れる世界を
松永 真琴
matsunaga makoto大阪府
大阪府
「先生もいない、講座もない、すきなだけ描いていい。」をコンセプトにした、女性専用コミュニティ「イラスト大教室」を運営。評価や比較ではなく、“自分のままで過ごせる場所”として、安心して創作できる環境づくりに取り組んでいます。
アートプロジェクト「ART route」を展開し、絵画専用梱包材「フレバコ」の開発、イベントでの展示即売「ミツカルアート」などアートをもっと身近に感じられる場を提供。
作家と購入者それぞれが抱える課題をつなぎ、アート市場の活性化を目指した活動を行っています。
信頼できるクリエイターと企業・個人をつなぎ、あらゆるクリエイターに機会を提供するオンラインコミュニティを基盤とした企画ディレクション事業を展開。ヒアリングから企画提案まで一貫して担い、目的に合わせたコンペ開催やPRの展開、展覧会を実施します。
参加者それぞれのSNS発信で依頼主の認知拡大にも貢献でき、メンバー限定ならではの信頼性の高さが強みです。
本が身近にある家庭で育つ一方、家の中には強い緊張感もあった。
母親から「なんで言うことを聞かれへんの?」と言われる環境の中でも、納納得できないことに対して親の思い通りに意思を曲げることができない子供だった。
姉弟のように流すことができず、自分の感覚を曲げられない。
その性質は衝突を生む一方で、「自分の感覚を守ろうとする力」でもあった。
何をしても怒られる日々のなかで、絵を描くことと工作だけが、唯一褒めてもらえることだった。
思いついたものをかたちにしていくことだけは、自分を認めてもらえる。
あらゆる行動を否定され、対話ができない家族のなかで、描くことと作ることだけが唯一の存在価値として許された。
芸術の道に進むと、周囲には圧倒的な才能を持つ人たちが集まっていた。
自分は突出しているわけでもない。
でも何もできないわけでもない。
その曖昧な立ち位置の中で、「自分は何者なのか」を問い続ける日々が始まる。
さらに、芸術は自分の内側をさらけ出し、それを他者に評価される世界でもあった。
「そこまでして、自分は何を表現したいのか」
創作は次第に、“楽しいもの”から“苦しいもの”へと変わっていった。
苦しさの中で見つけたのが、「表現は作品だけではない」という感覚だった。
言葉で伝えること。
人と人をつなぐこと。
場をつくること。
それらもすべて、自分にとっての表現だった。
無理に作品で証明しなくてもいい。
自分には、“つくる人を支える”という役割があるかもしれない。
そう気づいたことで、人生の方向が大きく変わり始める。
クリエイターと関わる中で、「価値があるのに伝わっていない人」があまりにも多いことに気づく。
作品はある。想いもある。
でも、それをどう言葉にすればいいか分からない。
それは能力不足ではなく、“翻訳”がないだけだった。
だからこそ、人の中にある想いや価値を言葉にし、社会に届く形へ整える活動を始めていく。
「イラスト大教室」や「ART route」などの活動も、その延長線上に生まれていった。
活動を続ける中で、「この価値観を一時的なものでは終わらせたくない」と感じるようになる。
人と比べなくていい。
上手くなくてもいい。
「その時間が楽しい」と思えることに価値がある。
そんな感覚を持てる人を増やすために、コミュニティや場づくりを事業として形にしていった。
それは、何かを売るための起業ではなく、
「自分を否定しなくていい世界」を持続させるための起業だった。
今目指しているのは、「人が自分で自分を肯定できる世界」。
誰かに認められることではなく、自分の感覚で「これでいい」と思えること。
創作は、そのための入り口の一つだと考えている。
特別な才能がなくてもいい。結果を出さなくてもいい。
ただ、自分のために何かをつくる時間を持つこと。
その中で、自分を少しずつ受け入れられるようになること。
そうした人が増えていく社会をつくるために、これからも“表現できる場”を広げ続けていく。
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