そもそも整体師になったきっかけは何だったのでしょうか?
ブライダル業界や不動産営業をしていましたが、ずっと正社員になれず、「どうしたら安定できるんだろう」と悩んでいました。
そんな中、知人の紹介で整体院へ行ったとき、歩くのも辛そうだった女性が、施術後に普通に歩いて帰る姿を見たんです。その瞬間、「これって何?」と衝撃を受けました。
それまで整体はリラクゼーションだと思っていたのに、目の前で“人生が変わる瞬間”を見た。
あのときの感覚は今でも忘れません。
修業時代はかなり厳しかったそうですね。
住宅ローンを抱えたまま、名古屋の師匠の元へ行きました。住ませてもらったのはお店の2階でしたが、住居仕様ではありません。お風呂もなく、洗面は小さなボウルだけ。冬は本当に冷たい水でした。
朝は銭湯に通い、日中は施術、夜は練習。ほとんど休みはありませんでした。
でも、「この技術を身につけたい」という気持ちが揺らがなかったんです。
環境よりも、“手に入れたい未来”の方が強かった。今思えば、あの時期が土台になっています。
新宿店を任されたときはどんな状況でしたか?
新店舗の立ち上げを任されました。ゼロからのスタートでしたが、オープン直後から予約が入り、翌月以降は月100名以上施術する状態になりました。
リピーター率は約9割。忙しさは想像以上で、休みがなくなり、ついには声が出なくなったこともあります。それでも施術は続けました。筆談で。
それくらい「ありがとう」をもらえる仕事が嬉しかったんです。
1日で10回も感謝される仕事は、なかなかありません。
それでも独立を決意された理由は?
頑張ることは嫌いじゃありません。でも、女性としての生活も大切にしたいと思ったんです。美容室に行く時間もない、休日もない。それは違うと感じました。
独立後は、女性向けに明確に打ち出したホームページを作りました。美容との親和性を強め、世界観を整えました。
雑誌取材や覆面調査で評価をいただき、予約は数ヶ月待ちに。ただ今回は「休みを作る経営」を徹底しました。
“続けられる成功”を目指すようになったんです。
イギリス移住の決断は大きな転機でしたね。
私は幼少期より母とは離れて暮らしています。
色々な方に支えられて今の私がいるのですが、
その一人に祖母がいます。
大切な祖母の介護が終わり、
「今なら動ける」というタイミングで、
私は、自分の「母」と向き合うことを決めました。
それは私の中でとても大きな決断でした。
私の母はイギリスにいます。
イギリスで永住権を持ち生活をしています。
今振り返ると、とんでもない勢いと思いこみで、
行動した自分にびっくりするのですが、
その時は、「イギリスに行けば母と暮らせる。」
何の疑いもなく、日本でのお店を畳み渡英したのです。
結果、私に永住権の資格はなく、
イギリスで長期に生活をすることはできないという現実を
目の当たりにしました。
正直、落ち込みました。でも3日後には、「じゃあどうやってここで生きる?」と考え始めました。
ビザ取得のために何を考えましたか?
取得したのはSkilled Worker Visa(スキルドワーカービザ)です。スポンサー企業が必要です。
でも、会社が私を雇う理由がなければ選ばれません。
だから私は、“選ばれる材料”を自分で作ることにしました。
具体的な行動を教えてください。
① 世界大会に挑戦
Ms. World Internationalに出場しました。
40代部門1位、Petite部門2位など複数入賞。
年齢や身長のハンデを理解したうえで、日本人らしい礼儀や姿勢を徹底しました。
② 書籍出版
整体技術書を出版し、Amazonカテゴリー1位を獲得。
第三者評価という形で信頼を可視化しました。
③ メディア露出
雑誌などの取材を通じて、専門家としての認知を高めました。
目的はただ一つ、「この人を雇う理由」を企業側に提供すること。
英国での資格取得は大変でしたか?
はい、とても大変でした。
スポーツマッサージ上級資格 Diploma in Sports Massage Therapy Level 5 は、イギリスでしか取得出来ず、医療に近いレベルの高度な技術が要求されます。
授業はすべて英語。理解できない所も多く、泣きそうになったこともあります。。
でも、テキストを翻訳し、分からないところはAIに質問し、最終的に先生に確認する方法で突破し、無事に資格取得することが出来ました。
資格取得により、海外での信用を獲得。活動の幅がさらに広がり、
「母と共に暮らす。」という私の願いに希望がみえました。
永住権取得にはまだ至りませんが、
この資格を新たなお守りに、少しでも長く母のそばにいたい。
母との時間を大切にしていきたいと思っています。
八賀さんにとって整体とは?
整体は、私にとって“人生の軸”であり、“ありがとうを重ねていく仕事”です。
私は「ありがとう」と言われるのが大好きなんです。
不動産営業をしていた頃は、契約まで半年、1年かかることもありました。でも整体は違う。1時間の施術で「ありがとう」と言ってもらえる。1日に10人施術すれば、10回ありがとうをもらえる。
その積み重ねが、私のエネルギーになっていました。
でも、それは単なる承認欲求ではないんです。
身体が整うことで、表情が変わる。
呼吸が深くなって、「なんだか前向きになれました」と言われる。
その瞬間に立ち会えることが、何より嬉しい。
整体は、痛みを取るだけの技術ではありません。
人がもう一度、自分を信じ直すきっかけになるものだと思っています。
私自身も、正社員になれなかった時期や、修業生活、海外で帰る場所がなくなった時期に、この仕事に支えられました。技術を磨くことは、自分を整えることでもあった。
だから整体は、誰かの身体を整える仕事であると同時に、
自分の在り方を整え続ける仕事でもある。
私はこれからも、「ありがとう」と言われる瞬間を大切にしながら、この道を歩き続けたいと思っています。